革靴や財布などの革製品、ちゃんとお手入れしていますか?
革製品は、乾燥をそのままにしていると、劣化(れっか)します。
長持ちさせるには、正しい手入れが大切です。
そこで使えるのが、万能ケア用品の「デリケートクリーム」です。
今回は、デリケートクリームの使い方について、特徴やどんな製品に使えるのかをご紹介します。
この記事でわかること
デリケートクリームの種類・特徴は?
まず始めに、デリケートクリームの役割について、ご説明します。
デリケートクリームの特徴と種類
デリケートクリームとは、水分・ロウ・油脂が入っている、革用のクリームのことです。
革にうるおいを与え、栄養を補給する効果があります。
革製品は、使い続けるうちに、水分や油分が抜けてカサカサになります。
そうすると革が硬くなり、ひび割れてきてしまうことも。
ひび割れのことを、クラック(crack)とも言います。
デリケートクリームで手入れをすると、革が柔らかくなります。
曲げ伸ばしに強くなることで、革にかかる負担が減り、長持ちするという訳です。
デリケートクリームの種類は、多くありません。
着色されていない(ニュートラル)1種類のみの、メーカーがほとんどのようです。
他のクリームとの違い
革の手入れクリームは、デリケートクリームの他に、乳化性クリームやワックスクリームなどの種類があります。
実は、入っている成分に違いは無く、水分・ロウ・油分の割合が違うだけなのです。
出展:ドクターマーチン
デリケートクリームは、水分の割合が多いさらっとしたクリームです。
べたつかず、シミになりにくいという特徴があるので、革製品全般に使えます。
ただ、他のクリームよりロウや油分が少ないので、ツヤはそれほど出ません。
一方、乳化性クリームやワックスは、油分やロウの割合が多く、ツヤ出しにも使えます。
ちなみに、色付きのデリケートクリームがないのは、水分が多いため「色が固定しにくい(すぐ落ちる)」からです。
(補色は、油分を入れることで、色を落ちにくくしています。)
デリケートクリームを使うべきでは無い製品
先ほどお伝えした通り、デリケートクリームは、ほとんどの革製品に使えます。
靴やバッグ、革ジャンやソファーなど、革製品をいくつか持っていても、使い分けなくていい便利な面があります。
しかし、スエード(またはヌバック)の起毛には使うことができません。
他に、エナメルや、爬虫類皮革(はちゅうるいひかく)のお手入れにも向きません。
起毛革に使えない理由
出展:ドクターマーチン
スエードと言えば、フワフワとした「起毛(きもう)」が一番の特徴です。
そこにデリケートクリームを塗ると、起毛がベタついて寝てしまいます。
見た目が悪くなるだけでなく、ゴミやホコリが付きやすくなる点もあります。
スエードを手入れする時は、起毛を寝かさない”スプレータイプ”を使いましょう。
また、ジェル状や液体(リキッド)も同じことになるので、相性が良くありません。
しかも、ロウや油分が多いタイプを塗った場合、乾燥したら毛が固まってしまうのです。
固まった毛は抜けやすくなり、せっかくの起毛がダメになるかもしれません。
もし手入れを間違えたら、以下の記事を参考に、対処してみましょう。
エナメルに使えない理由
出展:ドクターマーチン
エナメルとは、本革の上に、合成樹脂(ごうせいじゅし)を塗った作りになっています。
表面はツルツルして、水や汚れに強くなるので、手入れが簡単になります。
しかし、合成樹脂は、加水分解(かすいぶんかい)という作用によって、ベタつきやひび割れが出てくるのです。
そのため、エナメルを傷めず、かつ守るためには、エナメル専用が適していると言えます。
中には、汚れを落とす成分もあり、エナメルの寿命は短いですが、気軽に履ける靴として人気です。
キズやひび割れができると、革と違って目立たなくすることはできないので、マニキュアなどで対処します。
爬虫類皮革に使えない理由
出展:SSENSE
爬虫類皮革とは、ウロコや模様が特徴的な革のことです。
代表的な革として、ワニ(クロコダイル)・ヘビ(パイソン)・トカゲ(リザード)などがあります。
数が少なく珍しい革の「エキゾチックレザー」に分けられ、美しいツヤがあり、高級な革とされています。
ツヤを出す方法は、2つあります。
- 革を磨いてツヤを出す…グレージング
- ツヤを出す薬品を革に塗る…ラッカー
どちらの仕上げ方かすぐに知る方法はなく、見分け方もありません。
もし、ラッカー仕上げだった場合、クリームの成分が反応して、ツヤがなくなってしまいます。
目立たない所でテストする手もありますが、リスクを考えると、最初から爬虫類皮革専用を使った方が良いでしょう。
ヤギ毛ブラシはデリケートな革にピッタリ
出展:au PAYマーケット
エナメルや爬虫類皮革は、他の革よりデリケートなので、毛がとても柔らかい「山羊毛ブラシ」がオススメです。
プロ・ゴートブラシとも呼ばれています。
ただ、山羊毛ブラシは、馬毛ブラシより毛が抜けやすく、商品ごとに価格はピンキリ。
価格に差がある理由は、「毛の植(う)え方」に違いがあるからです。
機械で植えたか、人の手で植えたかの違いで、手作業の方が毛が抜けにくくなるので、高くなります。
デリケートクリームの正しい使い方
デリケートクリームは、使う時が多い手入れ用品です。
正しいやり方や、使う量を確認しておきましょう。
用意するもの
必要な道具は、以下のものです。
今回は、靴の手入れ方法をご紹介します。
- シューキーパー
- 馬毛ブラシ
- デリケートクリーム
- クロスまたは柔らかい布
シューキーパー(シューツリー)とは、靴の型崩れを整えるための道具で、革が張るので手入れしやすくなります。
ブーツの場合は、かかとから足首までの丈が長いので、「ブーツキーパー」を選びます。
デリケートクリームを使った手入れのやり方
出展:HIRAMEKI.
デリケートクリームの使い方は、とても簡単です。
靴紐は、手入れする前に外しておいてください。
- シューツリーを靴の中に入れる。
- 馬毛ブラシでブラッシングして、ホコリや汚れを落とす。
- 指(またはクロス)で、デリケートクリームを少しだけ取り、薄くのばす。
- 馬毛ブラシでブラッシングして、クリームを馴染ませたら、完了。
このやり方で、革製品に栄養を与え、しっとりと柔らかくします。
デリケートクリームは、「革が白っぽくなって乾いてきたな」と感じたときに、使うくらいでOKです。
見落としがちな、インソールの汚れのチェックもお忘れなく!
色落ちがあれば色付きクリームを使う
革靴を履いていると、何かにぶつかったり、こすれたり、水に濡れたりして色が落ちてきます。
色落ちに気が付いたら、色付きクリームを使いましょう。
順番としては、デリケートクリームを塗った後、色付きクリームをペネトレイトブラシで塗ります。
この時の仕上げは、馬毛ブラシより”豚毛ブラシ”が向いています。
(色がブラシに移るので、使い分けが必要です。)
デリケートクリームは水分が多いので、保湿は十分ですが、油分が少ないので「革を守る」面では気になるところ。
デリケートクリームと色付きクリームの2つを使うことで、色ムラが直せるだけでなく、革靴の保護もできるのです。
手入れに使うデリケートクリームの量
出展:マガシーク
デリケートクリームは、とても伸びの良いクリームです。
指で塗ると、体温でクリームが少し溶けるので、塗りやすさを実感すると思います。
元々、デリケートクリームは、革をコーティングする「ロウ」が入っていない分、重ね塗りできるものです。
(ロウが入っているクリームを何度も塗ると、革の通気性が下がります。)
しかし、どんどん浸透するからといって、たくさん塗りすぎてしまうと、ベタつきやシミの原因になります。
ほんの少しの量を、薄くのばすように塗りましょう。
おすすめのデリケートクリーム
革用のケア用品を、販売しているメーカーは多いです。
ここでは、特に有名で、評判も高いメーカーをご紹介していきます。
1.M.MOWBRAY(エム・モゥブレィ)/デリケートクリーム 2026 ニュートラル
モゥブレィのデリケートクリームは、「迷ったらコレ!」という定番です。
ゼリー状なので伸びが良く、革にしっかり浸透して、やわらかさを保ちます。
モウブレイには、銀面磨きに最適なハイシャインポリッシュもあります。
2.Collonil(コロニル)/汚れ落とし デリケートクリーム
コロニルの汚れ落としデリケートクリームは、ゲル状のクリームです。
革の風合いを損なわないように、汚れを落としつつ、栄養を補(おぎな)います。
3.SAPHIR Noir(サフィールノワール)/スペシャルナッパデリケートクリーム
1920年に誕生した、フランスの人気老舗「サフィールノワール」の商品です。
できるだけ天然のものを使うという考えで、色落ち・シミの原因になる有機溶剤やワックスは入っていません。
革だけでなく、人の肌にも優しいので、安心して使えます。
また、サフィールの「カラー補修クリーム」は、色の種類が多く、混ぜて新しい色を作ることもできます。
絵の具を塗るような感覚で、補色ができる便利アイテムです。
4.Collonil(コロニル)/1909 シュプリームクリームデラックス
こちらの商品は、浸透力の高い”シダーウッド”や”ラノリン”など、天然成分が入っているクリームです。
革に栄養を与えることで、しっとりしたツヤとうるおいが出て、さらには水を弾く効果もあります。
デリケートクリームというジャンルではありませんが、1つ持っておくと、いろいろな製品の手入れに使えます。
革の手入れは万能なデリケートクリームを使おう!
革靴や皮財布など、革製品のお手入れに万能に使えるデリケートクリームについてご紹介しました。
お気に入りの革製品を長く使うために、定期的にデリケートクリームでお手入れをしましょう。
クリームを塗って、軽く磨くだけなので、誰でも簡単に使うことができて、重宝しますよ。
革が汚れていると、クリームの成分が入りにくくなるので、「クリーナー」も使ってみてくださいね。