HushTug NOTE カルチャー 繊維工場の排水による環境汚染が深刻化。これが同じ川に見えますか?

繊維工場の排水による環境汚染が深刻化。これが同じ川に見えますか?

繊維工場の排水による環境汚染が深刻化。これが同じ川に見えますか?

2020年12月19日

インドネシアの人々の生活を支える大事な役割がある「チタルム川」。こちらは上流の様子です。

チタルム川

出典;Google Map

しかし、この川の途中にこんなものが流れているのです。

これはとある場所からチタルム川に合流する排水の様子です。この排水は化学物質が混じっているため、強いアルカリ性になり、皮膚に触れるとやけどをしてしまうほどの濃度があります。

この排水が流れ着いた川の水をインドネシアの人々は日々の生活で使っています。さらにその後は川だけでなく海にまで流れつくため、環境汚染がとんでもない事になっているのです。

この危険な、化学物質の混じっている排水が流れ出ている原因は、一体何なのでしょうか?

それは私達人間にとって無くてはならないものに繋がっています。それが衣服であり、ファストファッションの発展でした。このような環境汚染の原因にどのようにファストファッションが繋がっているのかを知っていってください。

それを知ってもあなたは「あなたにとっての安くていい服」を買い続けますか?

美しかったインドネシア

お話したチタルム川のあるインドネシアは、元々は自然豊かな綺麗な場所でした。アジアの楽園とも言われ、観光スポットの多い国です。

バリ島(左画像)は旅行はもちろん、ハネムーンでも行くほど海や自然が綺麗な場所です。

バリ島にあるティルタ・ガンガ(中央画像)はとても美しい水の離宮で、地元の人に愛されている公園となっています。あまり観光客はおらず、地元の人で賑わっています。

ジャワ島(右画像)も石組みで建設された壮麗な寺院が有名です。世界遺産に選ばれた寺院もありますし、行ったことのある人も多いでしょう。

他にも動物園や博物館なども観光地として賑わっています。赤道近くにあるため暑いが湿気は少なく過ごしやすく、自然豊かなインドネシアの自然が、崩壊しつつあることを知っている人は少ないでしょう。観光地は昔ほどではないにしろ、綺麗なままですから。

しかし現在、その環境が汚染され続けています。

2010年より前は、このように普通に川を渡ったり漁ができるところもありました。

川と言われたら思い浮かべることのできる、普通の川です。

このチタルム川は、何百万人もの人の生活を支えているとても重要な川なのです。それが2013年にはここまで汚染されてしまいました。

見て分かるように、現在その汚染具合はとても深刻なものとなっています。

川に浮かぶゴミなども酷いですが、より状況を深刻化させているのが上流にある工場からの排水です。上記で上げたようなアルカリ性の強い排水が流れ出ることにより、川や海が汚染され続けています。

このような酷い環境汚染が見られるのはチタルム川だけではありません。2000年を過ぎ急激に汚染が広がっていきました。その原因は2000年代半ば以降に一気に普及したファストファッションが関係しているのです。

身近にあるファストファッションの真実

現在、私たちは普段から何気なく手頃なファストファッションを身に着けています。

服を買う消費行動は、ストレス発散などにひと役買っていることや新しい服が必要ということもあります。単に新しい物好きな人もいるでしょう。

ファストファッションは低価格で、飽きたら捨てるを繰り返しても消費者の罪悪感や抵抗が全くなく、大量購入する人も少なくありません。

しかし、その低価格のために環境が悲鳴を上げているのです。

環境汚染の原因

被害を大きく受けているのは繊維工場のある国々です。服のタグを見て頂ければ分かりますがバングラデシュ、ベトナム、トルコ、ルーマニア、カンボジアなどの国々の名前が多く見られます。

その理由は低賃金の労働を得られるからであり、衣服を低価格で提供をしたいと考えているファストファッション業界が目をつけ、生産拠点を移していったのです。

製造中の環境汚染

それにより多大な被害を受けているいい例が、先程述べたチタルム川です。排水によるとんでもない環境汚染が現実的にあります。

あのようにチタルム川が汚れてしまった原因は上流にある工場による排水であり、工場の68%は大手ファッションブランドの繊維工場です。ファストファッションのブランドの工場も多くあり、つまりあの汚染は衣服を作り続けたために起きたことだと言うことです。

そしてこの排水はそんな繊維工場からの排水で、見た目が凄いだけでなくPHが14もあります。

これは最も強いアルカリ性だということを示しており、皮膚に触れるとやけどをしてしまうほどの濃度です。それが人が普段使う川に流れ込んでいるのです。

普通の廃水処理を行なっていたらこんなことにはなりません。

つまり工場の中には基本的な最低限の廃水処理を行わずに、汚水を川に流している可能性が高いということです。現地の人のことを少しでも考えていたらこんなことできません。

衣服作りにはさまざまな有害化合物が必要であり、大量に作ればそれだけ大量の有害物質が排出されていきます。その結果があのような環境汚染なわけです。

洗濯時の環境汚染

洗濯

また河川などの環境を汚すのは、何も製造過程だけではありません。普段家で行う洗濯時にも汚染している可能性があるのです。

衣服と織物は、天然繊維(綿・麻・羊毛など)と合成繊維(フリース・レーヨン・ポリエステルなど)の両方からできていますが、合成繊維は環境、海洋、そして最終的に食物連鎖を汚染しているのです。

市販されている合成繊維は、機能的なことを考え大量のエネルギーと有害化学物質を利用して工業的に製造されています。そのため天然繊維は時間の経過とともに生分解されますが、合成繊維は生分解されることがありません。

下水

実は、合成繊維を含む衣服を洗濯するとプラスチックのような微小粒子を放出し、下水処理場を通過して河川や海に放出されていきます。

そしてそれが川や海を汚染する原因となっているのです。

自分で洗濯する際に気をつければ、できるだけ合成繊維が放出しないようにすることはできます。しかしそれも全く放出させないのは難しいのです。

衣服を製造する時にも、衣服を身に着けていく中でも環境を汚染している状況のままでいい訳がありません。大量生産を止めないことには、このまま汚染が進行していきます。それを食い止めるためにも、本当に必要な服だけを購入し長く着ることで、大量購入・消費をしないようにしていきましょう。

水を減らしている現実

更に汚染ではない環境破壊も生み出していました。これはファストファッションに限ったことではありませんが、衣服を作るためには大量の水を使います。

綿に関しては、Tシャツ1枚を作るのに2万リットルの水が必要だと言われています。衣服を作れば作るほど水が必要となり、その結果使用できる水が減っています。

普段考えたりすることはないかもしれませんが、画像の地球の隣りにある水色の球体。これが地球上の水をすべて集めた量だと言われています。

人類が日常使える水の量は、これのわずか3%にも満たない量しかありません。

しかし何をするにも水資源は極めて大事な要素となります。

ファッション業界では綿花栽培の灌漑水に始まり、生地などの染めや仕上げで大量の水を使っています。そのうえ、2007年から2025年までに途上国では50%、先進国では18%の水需要の増加があると言われているのです。

このままでは使用できる水は減っていく一方で、人は何かを生み出すどころか死の危険にさらされます。水がなければ人は生き続けることができないのですから。

これらの原因とは…

このような環境汚染や水不足の大元の原因は一体何なのでしょうか。

大量に服を購入し、使い捨てのようにしている私達消費者にも原因はあると思います。しかしそもそも、そんなに安い服でなければ「使い捨てしよう」なんて考え持たなかったはずです。1枚1万もする服を使い捨てできる人なんて、そうそういないでしょう。

つまり原因は、服は使い捨てできると思わせた業界にあり、その1番の担い手がファストファッション業界ではないでしょうか。

人々に使い捨ての考えを植え付け、その欲求を満たすために低コストの服を作り続ける。そのために現地の環境汚染など顧みずに突き進んできた現状が、今浮き彫りになってきているのです。

あなたはいつまで環境の犠牲し、他人の血の上に作られた服を着続けますか?あなたにとっての「安くていい服」は、現地の人にとっての「自分から全てを奪う服」なのに。

現状の回復への動き

目を背けること無く現状を見つめると、このような酷い有様が広がっているのです。この現状を少しでも良くしようと、3月22日は「世界水の日」とされています。水不足に悩む世界の貧しい国々に対して、どうしたら安全できれいな水を届けることができるのかを考えるきっかけにしようとしているのです。

そして現在の状況を変えるために立ち上がったものが「デトックスキャンペーン」の開始であり、2020年までに有害化学物質の使用・排出をゼロにすることを求めるものです。

このキャンペーンにはファストファッションのブランドも参入し、現状を変えようと動き出しています。今後良くなっていき低賃金で働かされている人々から、さまざまなものを奪っている現状が早く改善されることを願いたいです。

しかし今を見てみると2020年まで待てないという現地の声も多いことでしょう。一刻も早く汚染ゼロを実現させなければいけない国も多いのですから。