革にはさまざまな種類があり、使用している皮や加工方法によってそれぞれ名前が違います。
カウレザーは牛の革、ホースレザーは馬の革など。そしてゴートスキンはヤギの革です。
今回は、たくさんの革の中から、ゴートスキンとキッドスキンの2種類に分けられる山羊革について紹介します。山羊革の特徴や手入れ方法、雨に濡れた時の対処法について解説しましょう。
この記事でわかること
山羊革(ヤギ革)とは?
山羊革は、牛革に比べ日本での知名度は低いかもしれません。しかし、高級革素材としてさまざまな製品に用いられています。
革の表面にはシボ模様と呼ばれる小さくてキレイなシワがあり、そのシワのデコボコのおかげで摩擦にも強いという特徴があります。シボ模様は羊革にもありますが、耐久性は山羊革の方が上です。
また繊維の密度が高いことからも強度に優れており、薄くて柔らかいという特徴も。最近は手袋や婦人服を初めバッグや財布など、レザー小物にもよく使われています。
山羊革と羊革の違いは?
山羊とよく似た動物に羊がいますが、それぞれの革の特徴は違います。
山羊革と羊革の大きな違いは、繊維の密度です。山羊革は繊維の密度が高いのに比べ、羊革は繊維が粗いのが特徴。そのため、強度が必要な製品には羊革はあまりむいていません。
しかし、空気を含みやすく断熱性に優れていることから、羊革は防寒具などに使われています。また、キメの細かさとソフトな肌触りが大きな魅力のため、バッグや財布などの小物を愛用する人も多く、人気となっています。
山羊革(ヤギ革)の特徴は?
山羊革は、使えば使うほど柔らかく馴染んで、型崩れがしないことが特徴であり大きな魅力です。
また、加工法によっては光沢を出すことも可能ですので、さまざまな表情を見せてくれますよ。
そんな山羊革の大きなふたつの特徴を紹介します。
薄くて丈夫
出典:DUCT
山羊革は羊革と似ているためよく比較をされますが、羊革よりも緻密な繊維構造をしています。そのため、摩擦に強く薄くて丈夫な特徴を持っているのです。
柔らかく弾力もあるので型崩れしにくいのも特徴のひとつで、優れた革といえます。
高級革素材としても有名な種類の革です。
美しい模様で光沢も出る
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山羊革の表面はシボ模様と呼ばれる小さくてキレイなシワがあり、非常に美しい革の表情を楽しめます。
シボ模様のデコボコがあることで摩擦にも強く、傷がつきにくくなっているのも特徴のひとつ。
シボ模様は、加工することで艶のあるガラスのような光沢を出すことも可能です。丈夫で軽くさまざまな表情を楽しめることから、山羊革愛好家も増えています。
山羊革は2種類!それぞれの特徴や製造方法
山羊革は、その特徴や製造方法の違いで、ゴートスキンとキッドスキンの2種類に分けられます。
それぞれの特徴について詳しく説明していきましょう。
ゴートスキン(ゴートレザー)
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ゴートスキンとは大人のヤギから作られた革のことです。
皮の表面にはキレイなシボ模様があり、美しい革の表情を楽しむことができるため、革にこだわりがある方にもおすすめできる革です。
一般的に山羊革と言えばゴートスキンのことをさしており、ゴートレザーとも呼ばれています。
ゴートスキンは、柔らかくてしなやかな肌触りが特徴。牛革よりも強く耐摩耗性にも優れているため、高級ブランドでも多く使われています。
またゴートスキンは薄い上に丈夫。弾力性もあり型崩れしにくいのも特徴のひとつです。
財布などの小物に適した革であり、最近は高級革手袋やフライングジャケットにもよく使用されていますね。
革を本の表紙として使う高級革装丁としても用いられているのですが、これは革としては珍しいことです。
基本的に、手入れが簡単なこともゴートスキンの魅力のひとつです。そのため、面倒くさがりの方や革製品初心者の方でも取り扱いやすく、初めての革製品としてもおすすめ。
ただ、やはり水には弱いので雨の日などは濡らさないように注意が必要です。
キッドスキン
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キッドスキンとは子ヤギから作られた革のことです。
細かいシボが特徴なのは同様ですが、ゴートスキンよりもさらにキメが細かく、しなやかで柔らかいのが魅力となっています。
柔らかく肌触りが抜群です。
染色したときの発色も良く、型崩れもしません。そして薄くて丈夫な特徴も兼ね備えているのです。
また、キッドスキンは生産量が限られているので、ゴートスキンよりも高級素材として珍重されています。
そのため、高級ブランドの手袋やバッグ、靴などによく使われ、人気を博しています。
山羊革の手入れ方法
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山羊革は扱いやすい素材のため、手入れもそれほど難しいことはありません。
ここでは、基本的な手入れ方法を紹介します。
日常的なお手入れ
山羊革製品の日常的なお手入れは、ホコリや汚れを乾いた柔らかい布で拭くだけで問題ありません。
目立った汚れは、拭くだけでは落ちにくいこともあります。
布で拭く時には落ちていない汚れがないか、目立った汚れや傷がないかは確認しておきましょう。
目立つ汚れの手入れ
目立つ、ひどい汚れがついている場合は、レザークリームを使用しましょう。
- 柔らかい布を水で濡らし固く絞り、優しく拭き取ります。
- 革製品用のクリームをつけ、汚れやシミを落としていきます。
※クリームは直接バッグにつけず、塗布用の布につけてから拭き取ります。強くこすりすぎないように注意しましょう。
革に潤いを与える手入れ
革が乾燥し、潤いがなくなると革の質が変わってしまうことがあります。
また、ダメージを受けやすい状態になっているので、そのまま放置しておくと傷などの原因にもなりかねません。
革の質を維持するためには、定期的に皮革用クリームで革に栄養補給をすると良いでしょう。
皮革用クリームは、水・油・ロウの配分により、丈夫な革製品からデリケートな革製品までほぼ全ての革製品に使用できます。
クリームを塗ることで、ひび割れからも革製品を守り長持ちさせてくれますよ。
バッグの場合
バッグの場合は、汚れがひどくなくても2カ月に一度は皮革用クリームを塗った方がいいでしょう。
皮革用クリームを塗って一晩置いた後、馬毛ブラシで優しくブラッシングし、余分なクリームを落として整えるよう手入れを行なってみてください。クリームを塗る前には柔らかい布でホコリや汚れなどをあらかじめ取ってから行いましょう。
雨などで水に濡れた時の対処法
濡らさないように気をつけていても、突然の雨などで濡れてしまうこともありますよね。
その際は、できるだけ早く対処していくようにしましょう。
革製品が濡れたら、早めに乾いた布で優しく拭き取るようにし、その後、日陰干しをします。
また、山羊革は温度にも弱いので、水に濡れたからといってドライヤーや直射日光で乾かすようなことは厳禁です。
風通しのいい日陰で干すようにしましょう。
また、事前に防水スプレーを使っておくという対策もあります。防水スプレーを使用する際には、ホコリや汚れなどを落としてからできるだけ屋外で使用するようにしましょう。
高級革素材の山羊革を堪能しよう
山羊革について理解は深まったでしょうか。
山羊革は、キレイなシボがあり耐久性が高いのが大きな特徴。薄くて丈夫なのでさまざまな製品に用いやすく、愛好家も多くいます。
柔らかく美しいシボ模様と優れた耐久性が特徴の山羊革。ぜひその魅力に触れてみてください。
山羊革に似ている羊革については、こちらから。