レザー製品の経年変化(エイジング)とは?革を上手に育てるコツ

革製品を買ったことのある方は、「経年変化」「エイジング」という言葉を一度くらいは聞いたことがあると思います。

「綺麗に使っていれば自然と革が馴染んできて“いい味”がでてくる」というなんとなくなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
この“いい味”というのが具体的に経年変化(エイジング)という現象のことです。

革製品の扱いをワンランクアップさせる経年変化(エイジング)の魅力と具体的なコツについて紹介していきます。

 

革のエイジングとは?

エイジングとは、一般的には「時を経る」という意味です。
最近では美容関連で「アンチエイジング」という言葉がよく使われています。

では革製品におけるエイジングとは、革の色(状態)が経年変化することを指します。
つまり“いい味が出る”ということです。

このエイジングこそが革製品の醍醐味と言っても過言ではないですね。

ではどういう変化が好ましく、魅力的に見えるのでしょうか。
エイジングの4種類の変化について解説していきます。

 

1:色の変化

 

革の色は変化していきます。
色の変化は、もっともわかりやすいエイジングなのです。

 

2:ツヤの変化


革のアイテムを使っていると、やわらかな光沢を身にまとうようになります
これが「ツヤ」と呼ばれるものです。

ツヤとは、オイルが革の表面を覆うことで、光を反射しやすくなった状態のことを指します。
ツヤを出すには、2つのポイントがあります。

 

①オイルレザーであること

オイルレザーは、最初からオイルをたっぷりと含んだ革のことです。

メジャーどころでいうと、コードバン、ミネルバ、ブッテーロなどがオイルレザーの代表ですね。
革の芯部にまでオイルが浸透しているため、使ううちに中からオイルがにじみ出てきます。

時間をかけて表面に少しずつ出てくるので、これが表面をコーティングしてくれるのです。
これが光沢(ツヤ)をまとうようになります。

一方、ヌメ革などはオイルが少ない仕上げです。

オイルが浸透してないため、ヌメ革にツヤを出すためにはメンテナンスが必要になります。
クリームなどでメンテナンスをするか、長く使うことで人の肌の脂分が移るか、このどちらかを行なっていくのです。

つまり、オイルレザーに比べると、艶が出るまでに時間がかかるのがヌメ革といえます。

 

②毎日使うこと

財布は、ほとんどメンテナンスが必要ありません。

というのも、毎日手に取って使うため手の脂分が財布に移っていきます。
毎日使うことによって適度にうるおった状態が続くのです。

カバンや靴などに比べると、小さなアイテムであるから、その全面を手で触れることになります。
そのため、手の油分だけで全体がうるおい、ツヤをまとうようになるのです。

また、雨風にされされることがないため綺麗に変化していきますよ。

 

3:なめらかさの変化


天然の素材である証として、革の表面には目に見えにくい、微細な凹凸があります。
革は使い続けることで線維が寝ていき、それによって少しずつ凹凸が無くなり、なめらかになっていくのです。

例えば、スムースレザーの王、ホーウィン社のシェルコードバン。
実は毛穴や、トラ(血管の跡)が残っていることがあります。

これも使うほど滑らかになるため、目立たなくなっていくのです。

 

4:カタチの変化


カバンやポケットに入れて使ううちに、線維がギュッと押されて凝縮していていきます。
ゆえにハリが強く、厚みのある革財布も、しなやかになり、スリムになっていくのです。

カタチが変わるのが嫌なら、ヒップポケットへ入れるのを避けて、カバンで持ち歩くようにしましょう
さらに、型くずれを避けるなら、コインケースを別に持つのが1番得策です。

ヒップポケットに入れず、小銭入れを使わない
この2つを守るだけで、新品のときのカタチを長く楽しめるようになりますよ。

 

エイジングしやすい革について

革の加工や仕上げ方法によって、エイジングしやすいものとしにくいものがあります。

それぞれの違いを見ていきましょう。

色が変化する革について

革製品と言っても全ての革製品でエイジング(特に色の変化)が楽しめるわけではありません。
革の製法によって楽しめる革とそうでない革に別れます。

革をつくる方法は、大きく2つに分けることができますよ。

  1. タンニンなめし
  2. クロムなめし

また、革にはさまざまな色が付いていますが、革の染色方法も2つあります。

  1. 染料仕上げ
  2. 顔料仕上げ

色が変化する革は、「タンニンなめし」かつ「染料仕上げ」の革ですよ。

タンニンについて

そもそも皮とは、動物の肌(スキン)のことをいいます。
そのままの状態では長持ちせず、乾いたり、腐ったりしてしまうのです。

そこで「タンニン」を使って、製品として長く使える「革」という素材に仕上げています。
これを「なめし」といいます。

革の色が変化するのは、タンニンに含まれる「渋(しぶ)」が変化するからです。

「渋」は、空気や紫外線に触れることに寄って、酸化します。
これによって、色が濃くなっていくのです。

革の色合いが深まるように変わっていくのは、このタンニンの成分のおかげといえます。


例えば身近な飲み物、日本茶もタンニンを含んでいますよ。

染料仕上げについて

染料仕上げとは、「水溶性の染料」を革の芯まで染み込ませることで、染め上げる方法のことを指します。
透明度の高い染料のため、革の持つ風合いを活かすことができ、革の表情をもっとも味わえる染料技法です。

エイジングを楽しめるメジャーな皮革は「ブライドルレザー」「コードバン」「ブッテーロ」などになります。

ちなみに、透明な染料では傷を隠すことはできません。
裏返すと「タンニンなめし、かつ顔料仕上げ」は、上質な皮でしか採用されることがないといえます。

傷が目立つ革から「売れる革製品」に仕上げるのが難しいのです。
(傷が多い皮は、この後紹介する「顔料仕上げ」で色を付けられていますよ。)

 

色がエイジングしない革もある?

「顔料仕上げ」の革の色は、変化しないのでエイジングしません。

顔料仕上げとは、革の表面に「水に溶けにくい塗料(顔料)を塗って彩りを加えいる方法のことです。
ビビッドな色合いを表現でき、水に強く色落ちしないという特徴があります。

ただし、革の表面を顔料でコーティングしているため、革の風合い、自然な美しさは劣るといえます。
何より、エイジングを楽しむことが出来ないです。

ちなみに、「顔料仕上げ=ダメな革」ではありません。
例えば、ドイツシュリンクの名称で親しまれる、シュランケンカーフは素晴らしい革で有名です。

顔料仕上げだからこそビビッドな発色は、染料仕上げでは表現できない美しさがあります。

  • 色ムラなく、ビビッドな美しさを長く楽しみたいなら、顔料仕上げ。
  • 色の変化を楽しみたいなら、タンニンなめし、かつ染料仕上げ。

どちらが良いと感じるかはその人の好みによります。

 

美しく革をエイジングさせる方法

ここまではエイジングの特徴について書いてきたが、次は上手くエイジングさせるコツを紹介していきます。

コツと言っても難しいことはなく、美しくエイジングさせるためのポイントは2つだけである。

 

①毎日使うこと


1つは、毎日使ってあげることです。

手の油分が移ることでオイルの膜でカバーされ、潤った状態になります。
乾燥から守り、かつツヤが続くわけです。

毎日使うことこそが、美しいエイジングへの道の1つの道になります。

 

②良い環境で使う


もう1つは、革にとって良い環境で使うことです。
いい環境というのは「適温適湿」であることと「おしりのポケットに入れて使用しない」の2点

 

①適温適湿

まず1番気をつけたいのは、気温が高くなる夏の車内に置きっぱなしにすることです。
革が歪んでしまう恐れがあります。

また、保管場所としてカビが発生しやすい、湿度の高い場所も避ける必要があります。
革に一旦カビが発生すると、取りきることは出来ません。

カビ対策としても、オイルレザーがいいです。
エイジングを楽しめるだけでなく、オイルがカビの発生を防いでくれるからです。

オイルの多い皮革は、コードバン、ミネルバ、マレンマ、ブッテーロですよ。

 

②ヒップポケットにいれない。

革にとって、汗は大敵です。
汗に含まれるアンモニアによって、変色する恐れがあります。

また、塩分もよろしくありません。
オイルや染料との相性が悪く、カサカサになってしまうからです。

手ぶらででかけたいとき、革の財布やキーケースなど、ジーンズに突っ込んで持ち歩きたくなってしましますが、夏は避けたほうがいいでしょう。

 

革のエイジングを加速させる方法

では次によりエイジング変化を楽しむために、エイジングを加速させる方法を紹介していきます。

①乾拭きする


持ち歩かない財布も、手入れは行うほうがいいでしょう。
手入れと言っても乾拭きする程度で大丈夫です。

革が乾燥してしまわない限り、オイルやクリームを塗らなくても問題ありません。
革の張り、強度が落ちてしまうからです。

例えば車のハンドルは革でできていますが、クリームを塗ったりする人はほぼいないでしょう。
しかしそれでも何年も使ううちに、ツヤが出てきます。

毎日丁寧に扱う革には過剰なメンテナンスは必要ないといえるでしょう。

 

②カバンのポケットに入れて持ち歩く


毎日使わない物だとしても、仕事でもプライベートでもカバンに入れて持ち歩くのがいいですよ。

サイドポケットに入れておくだけでも、財布が「乾拭き」されるので、自然とツヤが上がってきます

 

③日光浴


特に初めて使う革製品の日光浴は大切です。

使用する前に日光浴すると、一時的にエイジングが促進され、革の表面が固くなって傷や汚れがつきにくくなります。
こうすることで、その後使いながらエイジングした時にきれいな状態でエイジングが進んでいきますよ。

日光浴を行うのなら、窓際に置くだけで問題ありません。
夏場なら1週間ほど、冬場なら1ヶ月ほどかけてじっくり日光浴させましょう。

注意したいのはムラが出来ないように1日置きに裏表を変えながら均一にエイジングさせることです。

日光浴でエイジングが終わったら、クリームを塗って仕上げていきましょう。

直射日光は少なからず革にダメージを与える行為なので、革の内部が乾いてしまうのです。
この状態で使用すると劣化するので注意が必要になります。

 

まとめ

以上がエイジングの基礎知識から具体的な方法です。

革製品はしっかりと手入れしながら使用すると10年以上も使うことができ、その上、エイジングを楽しむことができます。
財布やカバン、名刺入れなど身近なものから取り組んでみてはいかがでしょうか。

また、革の素材ごとのエイジングについては以下の記事を参考にしてください。