革とは思えないような滑らかさで、人気が高い「ミネルバリシスオ」。
希少価値(きしょうかち)が高いため、巷であまり出回っておらず、初めて耳にした方も少なくないでしょう。
ミネルバリスシオとは、イタリアにあるタンナー(革を作る工房)が作る最高級の革です。
今回は、このミネルバリスシオについて、どんな革なのか、エイジング方法、おすすめアイテムなどをご紹介します。
この記事でわかること
最高級の革「ミネルバリスシオ」とは?
出展:HERZ
イタリアが革作りを始めたのは14世紀頃で、同時に装飾の技術も生まれ、技量の高い革職人が多くいたと言います。
イタリアには、ミネルバリスシオをはじめ、ブッテーロやナポレオンカーフと、伝統に基づいた素晴らしい革が多いです。
その中でも、ミネルバリスシオは「最もしなやかな革」と言われているのです。
ミネルバリスシオの語源は?
ミネルバリスシオを区切ると、ミネルバ・リスシオになります。
「ミネルバ」はローマ神話に出てくる工芸、知恵の女神の名前。
そして「リスシオ」は、イタリア語で「滑(なめ)らか」と言う意味があります。
”工芸の女神が作った滑らかな革”という意味が込められて、作られた名前です。
時間と手間をかけただけあって、名前の通り、とても上質な革に仕上がっています。
ミネルバリスシオの生産地
出展:Creema
ミネルバリスシオは、イタリア(フィレンツェ)のサンタクローチェ地区にある、バダラッシィ・カルロ社が作りました。
イタリアで1000年以上の歴史を持つ、伝統的なバケッタ製法で作っています。
イタリアンレザーが、世界に名を馳(は)せるキッカケとも言える製法です。
同会社で製作されている「ミネルバボックス」と共に、エイジングが楽しめるオイルドレザーとして、高い評価を得ています。
伝統的なバケッタ製法とは?
バケッタ製法は、栗から採れる渋みを使い、皮が腐らないようタンニン鞣(なめ)しの加工で作られます。
そして、丁寧に牛のすね肉からとった油脂を、浸み込ませていくのです。
全てが手作業で行われ、納得がいく仕上がりになるまで、何度もこの鞣しが繰り返し行われます。
そのため、完成まで非常に長い月日がかかります。
オイルドレザーとは?
出展:Creema
オイルドレザーとは、オイルレザーとも呼ばれ、革の中にオイルがたくさん入っている革のことを言います。
ミネルバリスシオはオイルレザーに分類されますが、その上をいく革もあります。
ミネルバリスシオより多いのがプルアップレザーで、プルアップレザーの2倍のオイルを含むのがマレンマという革です。
基本的に、オイルを多く含む革の手入れは、ブラッシングだけで十分です。
逆に、クリームを塗りすぎてしまうと、革の通気性が悪くなったり、カビが生えやすくなったりするのでご注意ください。
ブッテーロとの違い・メリット
出典:ショップ – 楽天市場
ミネルバリスシオもブッテーロもイタリアで作られ、どちらもタンニン鞣しされたオイルドレザーです。
両方とも使うたびに手に馴染み、エイジングを楽しめる革です。
ミネルバリスシオの特徴は先ほどご紹介したので、今度はブッテーロについて見てみましょう。
ブッテーロの特徴
出展:Amazon
イタリアンレザーの「ブッテーロ」は、ハリとコシがあるオイルドレザーで、その見た目から男性に人気があります。
特徴は以下の通りです。
- シボ(シワ)は無く、美しい表情をしている。
- 成牛の、ショルダー(肩)のみを使う。
- 革は厚みがあり、しっかりとした革。
- トスカーナ地方の、ワルピエ社(タンナー)のみで作られている。
- 合成染料を使っていないので、革がもつ香りを楽しめる。
注意したいのが、タンニン鞣しの革は色移りしやすく、特に、水に濡れたら移りやすくなります。
湿気のある場所を避け、濡れた時はすぐに柔らかい布で拭き、陰干ししましょう。
ブッテーロとミネルバリスシオを比べると?
出展:Creema
両方を比べてみると、浸透させるオイルに違いがあります。
ブッテーロは、植物性のオイルを浸透させた、硬くコシがある革です。
内部のオイルによって、透明感があるエイジングが楽しめます。
それに比べ、ミネルバリスシオは、ブッテーロよりも多くの動物性オイルを浸透させます。
その結果、しなやかなさを持ち、エイジングにおいても、短期間でツヤや色の変化を実感できるのです。
ミネルバリスシオのエイジングを楽しむ正しい方法
出展:Creema
革製品は愛情をもって手入れを行えば、使うたびに手の油脂が革に染み込み、艶や色合いが変わってきます。
また、革が柔らかくなってきて、手に馴染んできます。
このように、使っているうちに出てくる変化を「エイジング」と言います。
1.毎日使って手で触るようにする
そもそもエイジングとは、革が紫外線や空気に触れ、オイルが”酸化”することで起きます。
オイルが多い革ほど、エイジングが美しいというのは、そういう意味があるのです。
ミネルバリスシオはご存じの通り、すでに豊富なオイルが革に染み込んでいます。
触るたびに手の油脂と混ざり、オイルが馴染み、エイジングが早く進むのです。
2.時々日光浴をさせる
先ほどお伝えした通り、紫外線による酸化を利用した方法です。
ポイントは、直射日光ではなく日陰で行うこと。
革は高温に弱く、それが原因でひび割れたり変形したりすると、元には戻りません。
時間が進むと日差しの向きも変わるため、それを踏まえて置き場所を決めましょう。
ちなみに、蛍光灯でもエイジングすることが分かっており、店頭に並ぶ商品のエイジングに、差が出るほどです。
3.革小物はバックに入れて持ち歩く
出展:ATAO
財布やパスケースを、ヒップポケットなどに入れている人を見かけますね。
しかし、革製品の収納場所としては、あまりおすすめできません。
革は水にも弱く、しかも汗の場合、含まれる塩分・アンモニアによって、革の質が落ちてしまうのです。
革の扱い方が悪いと、エイジングにとっても悪影響になるため、雨や汚れが付きにくい場所に入れましょう。
小物用のジッパーポケットがあれば、そこを専用にしてもいいかもしれませんね。
4.馬毛ブラシでブラッシングする
出展:Amazon
オイルドレザーでも、使ううちにオイルが抜けていくので、乾燥気味になったらクリームやオイルを塗ります。
しかし、ミネルバリスシオは、”浸透しづらい”オイルを時間をかけて染み込ませています。
つまり、革から抜けにくいオイルとも言えます。
そのため、オイルを塗る必要がほぼ無く、しばらくは簡単な手入れだけになります。
普段の手入れは、汚れを落とすためのブラッシング、または乾拭きだけで問題ありません。
ミネルバリスシオを毎日持ち歩こう~おすすめ長財布~
持ち歩く財布は手に触れる事で、最も早くエイジングが楽しめる革小物です。
ミネルバリスシオの、しなやかな革を楽しみましょう。
1.Lutece(リュテス)/ Long Wallet(ロングウォレット)
出展:kawa-ee.com
リュテスは、飾らない美しさをテーマに、ヨーロッパの上質な革を使い、全て手作りで製作しています。
そんなリュテスから、ミネルバリスシオの薄い長財布をご紹介します。
シンプルな作りながら、ロゴは型押しにしておしゃれな存在感に。
外側と内側に、ミネルバリシオを贅沢に使っているので、エイジングを楽しめるようになっています。
出典:kawa-ee.com
内側は一部カラーを変えて、遊び心を感じるデザイン。
小銭入れが付いていないスリム設計は、スーツの内ポケットに入れてもシルエットを崩しません。
小銭入れは別にして、財布を二つ持ちにすることで、財布も傷みにくく・汚れにくくなります。
サッと取り出した一瞬でも分かる、上品さが醸(かも)し出ていますね。
2.HERZ(ヘルツ)/Organ(オルガン)ラウンドファスナー長財布
出典:Herz
HERZは、「カバン作りが楽しい!」という思いから始まった、革鞄ブランドです。
カバンだけでなく、財布・ポーチ・ストラップ・パスケースなど、製品の種類も数多くあります。
今回は、L字ファスナーの長財布に着目しました。
ラウンドファスナーに比べて開閉がスムーズで、中身も見やすい財布です。
出典:Herz
お札入れは左と右に離れており、種類やレシートごとに分けることができます。
中央に、カード入れと小銭入れを設置し、取り出しやすさを重視しました。
カラーは、アンバー(茶系)・カスターニョ(ココア系)・ブラックの3色から選べます。
もちろん毎日使うことで、エイジングを楽しめます。
- HERZの公式サイト(財布)は、こちらから。
ミネルバリスシオで鞄をランクアップさせよう~おすすめバッグ~
革のバッグは人気がありますが、ミネルバリスシオを使ったバッグは、使うたびにしなやかになります。
年季が入り、色が移り変わる様を楽しめますよ。
ワンランクアップしたバッグをご覧ください。
1.HERZ(ヘルツ)/Organ(オルガン) トートバッグ
出典:Herz
オルガンとは、ヘルツが作った「空間の名前」で、工房と店舗が一体型になっている場所を言います。
こちらは、どの角度から見ても美しい、ミネルバリスシオだけが使われたトートバック。
底面は、革を2枚重ねることで補強し、さらに内部に底板(取り外し可能)があるので、しっかり自立します。
カラーはアンバー・カスターニョ・ブラックの3種類で、サイズはSとMの2種類があります。
出典:Herz
上の画像はMサイズで、A4ファイル・水筒・ポーチなどがすっぽり収まる、丁度いいサイズ感です。
装飾は無く、ラフな作りで、純粋な革のエイジングが楽しめるバックになっています。
- HERZの公式サイト(トートバッグ)は、こちらから。
ファスナー無しなので落とし物に気を付けることと、防犯面で少し心配な方は、以下の記事を参考にしてみてください。
2.HERZ(ヘルツ)/Organ(オルガン) オーバルブリーフケース
出典:Herz
見た目が旅行鞄のような、シックなビジネスバッグです。
マチ(鞄の底)は薄めですが、革を全面に使い、重厚感を出しています。
また、上げ底にしてあるのと、底鋲(そこびょう)付きで、立てて置いても安定感◎。
外側にパスケースサイズのポケット、内側にも小物用ポケットが3つ付いており、使い勝手のいい鞄です。
出典:Herz
こちらは、オーバルブリーフケースを3年使ったものです。
革のエイジングを初めて見た方は、同じ製品と思えないくらい驚いたことでしょう。
新品を見ると革のハリを感じますが、それより柔らかくなっているのが分かります。
手入れによって色ツヤも素晴らしく変化し、これこそ革の醍醐味(だいごみ)ですね。
- HERZの公式サイト(ビジネスバッグ)は、こちらから。
ミネルバリスシオを小物にも取り入れよう~おすすめ名刺入れ~
名刺入れのような革小物こそ、良いものを持ちたいですね。
仕事で名刺を出すときに、上質な革だとちょっと株が上がります。
1.AYAME ANTICO(アヤメアンティーコ)/ミネルバリスシオ ポルタカルテ
出展:アヤメアンティーコ
アヤメアンティーコは、イタリアンレザーのアイテムが多く、縫製(ほうせい)は熟練の日本革職人が手掛けています。
ロゴは内側に入れ、全体をすっきりさせたスリムな名刺入れです。
カラーは男女関係なく使える色に仕上げ、オルテンシア(青系)とカフェラテ(茶系)の2種類あります。
カードポケットが2つとオープンポケットが1つあり、名刺以外に、保険証や運転免許証なども入れることができます。
出展:アヤメアンティーコ
何度も手で触れることで、ミネルバリスシオのエイジングを実感できますよ。
定番のカフェラテもいいですが、エイジングが予想しづらいオルテンシアも楽しめそうですね。
名刺入れはビジネスで必須アイテムなので、プレゼントに選ぶ方も多いようです。
希望者には、リボン付きの丁寧な梱包をしてくれる「ギフトラッピング」も対応しています。
- アヤメアンティーコの公式サイトは、こちらから。
2.TAVARAT(タバラット)/名刺入れ
出展:タバラット
ミネルバリスシオならではの、革の触感が心地いい名刺入れです。
コンパクトな見た目ですが、意外と収納力があり、最大で名刺が50枚入ります。
セミナーや研修などに行くと、名刺交換をしてすぐに減ってしまうので、これなら安心ですね。
メインポケットの他に、オープンポケットが1つ、スリットタイプのポケットが1つあります。
出展:タバラット
スリットタイプには、すぐに取り出せるよう自分の名刺を準備しておくことができます。
相手の印象を良くする、スマートな名刺交換が可能です。
また、これよりも薄い名刺入れと二つ持ちする人もいます。
50枚も入るので、外出先で使い分けたり、バッグに予備で入れておいたり、自分なりの使い方を見つけてみましょう。
- タバラットの公式サイトは、こちらから。
最高級でしなやかな革のミネルバリスシオを使おう!
出展:楽天市場
ミネルバリスシオの特徴や由来、オススメの革製品などをご紹介しました。
動物性のオイルを浸透させる事でオイルを閉じ込め、あまり手入れせずともエイジングを楽しめるミネルバリスシオ。
1000年以上の伝統を、しっかりと守ってきた上質な革です。
大切に扱うとどう変化していくのか、ガラリと変わる表情が見たくなってきましたね。
そんなミネルバリスシオの革製品を、ぜひお手に取ってみてください。