HushTug NOTE カルチャー 発展途上国の最低賃金の悲惨な現状。時給15円の労働者の苦悩とは?

発展途上国の最低賃金の悲惨な現状。時給15円の労働者の苦悩とは?

発展途上国の最低賃金の悲惨な現状。時給15円の労働者の苦悩とは?

2020年12月03日

突然ですが、もし日本に住むあなたが15円を手にしたら何に使いますか?

実は世界の中では1時間精一杯働いて、たった15円しかもらえず、毎日の食費さえ困っている人間がいます。

一見、日本に住んでいる私たちには関係ないようなお話ですが、実はこの貧困を作っている原因はあなたかもしれません。

この記事を読んでいるあなたが、なぜ世界の貧困を作っている可能性があるのか、その理由についてお伝えしたいと思います。

発展途上国の低すぎる賃金の状況

こちらは発展途上国・カンボジアの縫製工場で働く方々の写真です。ぎゅうぎゅうに詰められ、朝から晩まで衣服を作り続け、彼らの月給は数年前まで80ドル(約9600円)でした。

彼らは休みや有給もなく、ほぼ毎日長時間働いていますから、出勤日数と時間を考慮すると、時給は約15円という破格の値段で働かされています。

カンボジアは週の平均の食費が平均約9ドル(約1,000円)、1日に換算すると1.3ドル(約160円)というごくわずかなお金で生活しているのです。

さらにその職場環境は劣悪そのもので、

・工場内で肉体的、精神的虐待
・強制時間外労働
・有給、出産休暇取得は取れない
・トイレ休憩はなし
・飲料水は川の汚れた水

もはや人権はなく、人間として扱ってもらえていません。

この工場で働く彼らは、こんな状況に毎日耐えながら仕事をしています。

日本に住む私たちは、そんな過酷な状況で作られた衣類を「安いから」という理由で購入しているのが現状です。

時給15円の理由

その理由は至極シンプルで、より低価格で商品を販売したいファストファッションブランドが利益を追求し続け、コストのかかるアメリカや日本などの先進国から最低賃金の低い発展途上国に生産拠点を移したからです。

先進国の代表であるアメリカでは、1960年代に国内生産の洋服が50%でしたが、現在ではたった3%になっています。

最近の日本でも千円や二千円の衣服や数百円のシャツをあちこちのショッピングモールで見かけます。

このようなファストファッションブランドの低価格を実現するために、発展途上国の労働者があまりにも低すぎる賃金で働かされているのです。

この記事を読んでいるあなたも「安くて、おしゃれ」が謳い文句のファストファッションブランドの服を1度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

私たちが「安さ」を求めれば求めるほど、その代償を発展途上国に住む彼らが受け続けているのです。

ついに労働者が決死のデモを実施

時給15円という破格の値段で働かされ、ファストファッションブランドに奴隷のように利用されていたカンボジアの労働者たちは、2014年1月2日から3日にかけてカンボジアのプノンペン市内の工業団地でデモを行いました。

時給15円では食費だけで精一杯なのですから、デモを起こすのはごく自然なことでしょう。

しかしこのデモに対して、治安部隊は武力で市民を攻撃し、4人が死亡。39人の負傷者を出しました。

突然デモを開催し、政府に逆らった労働者に圧力をかける政府の行動は正しいのかもしれませんが、このデモで労働者はひと月の最低賃金をたったの160ドル(約18,000円)に引き上げるように求めただけなのです。

1ヶ月ほぼ毎日働いて、たったの160ドルもらいたいという労働者に対して、政府は致死性のある武器(AK47ライフル)による実弾で直接射撃をしました。さらに手榴弾や催涙ガス、鉄パイプ、ナイフを使って過剰な暴行を加えたのです。

このようにファストファッションブランドが儲かるごとに、発展途上国の労働者が大きすぎる負担を背負っていることが世界の現実です。

あなたはこの事実を知っても「安くて、おしゃれ」な服を買い続けますか?

デモによる賃金の変化

あまりにも低すぎる最低賃金に不満を持ったカンボジアの労働者は、政府に自分たちの要望を通すためにデモを起こし続けました。

そして2013年12月に労働省は、縫製産業の最低賃金を従来の月額80ドルから95ドルへ引き上げることを発表しましたが、この額に不満を持った労働者たちは全国規模のストライキを開始しました。

確かにほんの少しの15ドルは上がりましたが、労働者たちの最低限の希望額は160ドルですから、ストライキを起こすのは当たり前でしょう。

カンボジアの縫製産業に広がったこの最低賃金の論争は収まらないまま、2014年に労働組合・工場・政府間で最低賃金の引き上げ交渉が改めて行われました。

結果的に労働省はストライキやデモを防ぐため、最低賃金を128ドルに設定したのです。

まだまだ希望の160ドルには達していないですが、労働者たちのデモが政府の方針を変えるきっかけになりました。

しかし賃金以外にも環境は劣悪

児童の労働

発展途上国のカンボジアでは、労働が可能な最低年齢は15歳となっているにもかかわらず、多くの衣服工場は12歳の少女を働かせています。

ここで働く少女たちは学校を途中でやめ、貧しい家族の支えるために働かされているのです。

学校で教育を受けることを諦めた少女たちは、この貧しい労働環境から逃れられない悪循環にどっぷりとはまっていくのです。

こうして稼ぐことのできる給料は、成人女性の最低賃金にも及ばず、1日たったの50円程度です。

体調を崩したらクビ

カンボジアの縫製工場の労働者の中には、鼻血が止まらなくなってしまったため、そのまま病院送りとなり、クビにさせられてしまったという女性もいました。労働者の限界はとうに超えているようです。

衣服工場で働く人の多くは女性であるにもかかわらず、妊娠を期に減給されたり、クビにされたりする女性がたくさんいます。

サービス残業も当たり前で、ノルマを達成しない限り、家に帰れないという工場が多く存在しています。

大量生産を毎日続けられなければクビになってしまうのです。

労働者たちの未来

現状の日本でファストファッションブランドは、低価格でおしゃれが出来るので、当然人気があります。

しかしこの低価格を実現するには、発展途上国の労働者たちが過酷な労働を強いられていることが現実です。

あなたはそんな劣悪な環境で作られた衣服を、日本人が何も知らずに「安くて、おしゃれな服」だと喜んで袖を通している現状に対してどう思いますか?

国が違えば労働条件や労働環境が異なるのは当たり前です。しかし人権は人間1人1人に共通するべきもので、国も性別も関係ないのです。

私たちが安さを求めることで、地球や地球上の誰かが犠牲になっているのです。