HushTug NOTE カルチャー 1127人が犠牲になったアパレル史上最悪のビル崩壊事故の真相

1127人が犠牲になったアパレル史上最悪のビル崩壊事故の真相

1127人が犠牲になったアパレル史上最悪のビル崩壊事故の真相

2020年12月03日

突然ですが、今あなたが着ている服がどこの国で、どのような環境で作られているか考えたことはありますか?

服を購入するときに、購入するお店やブランド、その服のデザインを気にする方は多いですが、どこで作られているかを考えて服を買う方はほとんどいないのではないでしょうか。

最近の日本で出回っている服は中国産が多いですが、驚くべきことにバングラデシュやカンボジアなどの発展途上国で作られる服も凄まじいペースで増えています。

ではあなたは、私たちの服を作る発展途上国の労働環境の現状を考えたことはあるでしょうか。

実はその環境は、私たちには想像できないほど劣悪で残酷な悲惨すぎる環境なんです。

まずはこの写真をご覧ください。

この写真は2013年4月末、バングラデシュの首都ダッカ近郊で起きた8階建てビル「ラナ・プラザ」の崩壊事故の様子です。

この事故により、労働者1127人の命が奪われ、2500人以上の負傷者を出し、バングラデシュで過去最悪の事故となりました。

しかし驚くべきことに、このビルの管理者はこの事故が起こる前に、すぐに崩壊することが分かっていたといいます。

ではなぜ労働者を避難させなかったのか、私たちの服を作る環境がどれほど悲惨なのか、詳しく説明していきます。

この事故の真相

当時のラナプラザは地元の有力政治家の所有物であり、違法な増築を何度も繰り返し、建物の強度に問題が生じていたことは誰の目にも明らかでした。この政治家は自身の権力を使い、法律を曲げて違法建築物を建てさせた疑いもあります。

さらにビル崩壊前日に亀裂が発見されたにもかかわらず、工場経営者が労働を強制的に継続させたため、被害を大きくしました。

ではなぜ事故がすぐにでも起きると分かっていながら、そんな劣悪な環境で労働を強制したのでしょうか?

それはこの縫製工場が日本を含めた世界のファストファッションブランドから、莫大な量の衣服の発注を受けているためです。

ファストファッションブランドは自らの利益を出すために、徹底的にコストを抑え、発展途上国の最低賃金の低さを利用して、このバングラデシュの工場に破格の値段で発注をし続けました。

利益を追求し続けるファストファッションブランドは、今にも崩壊すると分かっている工場にぎゅうぎゅうに労働者を詰めて、朝から晩まで働かせているのです。

発注を受けた工場監督者たちは、ファストファッションブランドに圧力をかけられ、期限内に莫大な量の衣服の提出を強いられており、断る権利を与えられていなかったといいます。

私たちの住む日本でもよく目にする「安価でオシャレ」をテーマにしたファストファッションブランドが、買い手のニーズに合わせて大量消費、大量生産を物凄い速さで繰り返しているため、その代償としてこのバングラデシュでの過去最大の事故をもたらしてしまいました。

私たちが着ている服は、彼らの血で作られていることが現実なのです。

今回の事故は、この建物から欧米の大手アパレルメーカーの商品が発見されたことでファストファッションのビジネスモデルに疑惑の目が向けられるきっかけとなりました。

この事故により、発展途上国の安い労働力を利用した日本を含む欧米先進国の「搾取の構造」があることが世界中に報道されたのです。

悲惨すぎる労働条件

ラナプラザでは建物の壁の大きな亀裂を理由に工場に入ることを躊躇していた労働者たちに対し、工場監督者たちは中に入ることを強制的に要求していました。

この事故以前の2012年11月24日にも、火災が原因で112人が犠牲になったタズリーン縫製工場で、火災警報が作動した後も監督者たちが労働者の避難を禁止していたといいます。

さらに労働者たちは、工場内で肉体的・精神的虐待や強制時間外労働、有給出産休暇取得の拒否、一括の賃金・ボーナスの不払い、トイレ休憩なしのプレッシャー、飲料水は川の汚れた水を飲むなど虐待的処遇や劣悪な労働条件にも日々直面していました。

また縫製労働者の多くが女性である一方、上司や監督者はほとんどが男性であるため、精神的虐待が性的な色合いを帯びることもあったそうです。

このような悲惨な現実を改定すべきとバングラディシュでは、労働法の一部規定に改正を加えましたが、労働組合のある縫製工場は未だ10%以下に過ぎません。

労働組合の代表者たちは、現在も工場監督者たちに標的にされており、監督者および上司のいじめの対象となる危険や雇われたチンピラによる暴力に直面していると話します。

この事実からも現状のバングラデシュは、私たちの生活からは予想もできないほど悲惨な労働環境であることが分かります。

この事故からの世界の変化

「ラナプラザ」崩壊事故の3週間後、国際労働機関やNGOが中心となり、バングラデシュ縫製工場の安全性確保のための国際合意が創設されたことや北米勢が独自の同盟「アライアンス(バングラデシュ労働者安全同盟)」を発足させたことなどバングラデシュの労働条件を変える改革を進めています。

また工場を検査も徹底しており、必要な基準を満たすように資金補助や技術支援も行うことになりました。

これにより工場の構造強度、防火対策、非常階段の設置など避難経路の確保、従業員への飲み水の確保などが検査され、基準を満たすまで発注を受けることができない仕組みにしています。

しかし全ての労働者の環境が改善された訳ではなく、卑劣な環境で労働を強いられている労働者がいることが現実です。

では現状のファストファッションの問題点を解決するために、私たちが出来ることはどんなことでしょうか。

1番身近な解決法は、量よりも質を重視して衣服を購入し、その服を長期間使用することです。

「安くておしゃれ」なファストファッションブランドの衣服の大量生産、大量消費のサイクルを見直し、衣服の生産過程に関心を持ち、周りの方々に広めていくことも解決策になり得ます。

決してファストファッションブランドの商品を買ってはいけないというわけではなく、ファストファッションブランドの商品を長期間使用して頂ければ全く問題ありません。

大量生産、大量消費を繰り返すのではなく、質の高い衣服を購入して長期間使用することで少しずつですが、ファストファッションの問題点を解決できます。